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ソフトバンクG大幅赤字と、日経EPS急落の株高

5月も下旬に入り、2020年3月期の決算発表が終盤を迎えております。2021年3月期の業績見通しについては「未定」とする企業が相次いでおり、日経平均のEPS(1株あたり利益)は、算出基準上これら未定企業が0として扱われることから、ついに550円を割り込む水準となりました。

こうした企業業績の悪化にもかかわらず、株式市場では株価が堅調に推移しております。年初には日経平均が24000円に迫る局面が見られましたが、3月には一時16358円まで下落。その後は反発し、現在は上昇トレンドが継続しています。

このようなボラティリティの高い相場では、ファンダメンタルズやテクニカル分析だけでは相場の動きに追いつけない局面が出てきております。株式市場で継続して利益を上げるためには、市場の資金の流れ、いわゆるフローを読むことが極めて重要です。

現在の市場には、「いずれ二番底が来る」と考えてポジションを取らない投資家がまだ多く存在しており、加えて中途半端な水準で空売りを行っていたトレーダーの買い戻しが本格化するまでは、強い上昇相場が継続する可能性が高いと見られます。

海外投資家の売買動向を見ると、現物株・先物ともに売り越しの状況が続いています。これらの売りポジションがいつ巻き戻されるかは、今後の市場動向を占う上で注目すべきポイントです。

背景には、各国の中央銀行による大規模な流動性供給があります。現在の市場は、実体経済の悪化と株式市場の高騰が同時に進行する「金融バブル」と「大不況」が併存する構図となっています。皮肉なことに、企業業績の悪化が「ある時点までは」株価上昇の材料となる可能性すらあります。

次に注目すべきは原油市場です。先月の限月交代時にはWTI原油先物がマイナス価格を記録しましたが、今月は逆に期先と期近の価格が逆転する展開が想定されます。これにより、エクイティリンク債(EB債)など関連商品にも波及効果が生じる可能性があります。

また、ソフトバンクグループの決算発表も注目を集めています。同社の投資損益や資産評価が株価にどのような影響を与えるか、市場は注視しています。

株式会社アイリンクインベストメント
岩本壮一郎

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