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AI相場に高まる熱狂と冷や水

日経平均は4日ぶり反落、40年債入札が警戒材料に

2024年5月28日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比1円71銭安の37722円40銭と小幅に反落し、4営業日ぶりに下落して取引を終えました。

前日の米国株式市場では、トランプ米大統領が欧州連合(EU)への関税発動時期を7月9日に延期すると表明したことに加え、5月の米消費者信頼感指数が市場予想を上回る内容となったことから、主要3指数がそろって大幅に上昇しました。ダウ平均株価は740ドル高の42343ドルと、大きく反発しました。

こうした流れを受けて、東京市場でも朝方は買いが先行しました。日経平均は一時38125円台まで上昇し、心理的節目である38000円を超える場面も見られました。しかし、後場にかけては戻り待ちの売りに押されて失速し、前引け時点で見られた194円高から大きく上げ幅を縮小し、終値ではわずかにマイナスへと転じました。

この背景には、本日実施された40年国債の入札が予想以上に弱い内容となったことが挙げられます。財務省が実施した入札では、応札倍率が2.21倍と低調で、最高落札利回りも市場予想の3.085%を上回る3.135%で決定されました。これにより需給の緩みが意識され、超長期債を中心に金利が上昇しました。30年債利回りは一時2.94%、40年債利回りは3.38%まで上昇し、株式市場にとっては金利上昇が重しとなりました。

また、前場の投資主体別の動向では、高値圏で個人投資家の買いが目立ったことも市場心理に影を落としました。値上がり銘柄数は790、値下がりは764と拮抗しており、全体としては方向感の乏しい一日となりました。

個別銘柄では、6857 アドバンテストが日経平均への寄与度で+30円超とトップでした。4568 第一三共や4452 花王、8830 住友不動産なども指数を下支えしました。一方、6098 リクルートホールディングスや4519 中外製薬、6954 ファナックは指数を押し下げる要因となりました。

業種別では、保険業、石油・石炭、水産・農林業、空運業などが上昇した一方で、サービス業、鉄鋼、精密機器などが売られる展開となりました。

海外では、AI関連銘柄の過熱ぶりが引き続き話題となっています。米クラウド企業コアウィーブ(CoreWeave)は、27日の米市場で前週末比21%高の123ドルまで急騰し、IPO時の約3倍にまで上昇しています。短期間での株価急騰は市場にバブル懸念を広げています。

コアウィーブは、NVIDIA製のGPUを活用したAI専用クラウドサービスを展開しており、OpenAIやMicrosoftとの契約が評価されています。しかし、米DAデビッドソンやモフェット・ネイサンソンなど複数のアナリストが株価の過熱に懸念を示しています。流通株式数の少なさが株価上昇の背景にあり、今後は価格変動の大きさが意識されやすい状況です。

日本時間29日未明には、NVIDIAの決算発表が予定されており、AI相場の“本命”銘柄として市場の注目が集まっています。期待値が高まっているだけに、決算内容によっては米ハイテク株全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。

株式会社アイリンクインベストメント
岩本壮一郎

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