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Fedバブルvs原油安

こんにちは。アイリンクインベストメントの岩本壮一郎です。

本日は、原油価格と株式相場の関係についてお話ししたいと思います。SNSや一部ブログランキング上位の方の発信では、「昨年末の原油は100ドルだった」などの表現が見られますが、ハイイールド債の仕組みや原油先物の構造を理解せずにコメントされているケースも多く、誤解を生む内容が散見されます。

まず原油価格の暴落についてですが、これは限月の変更による影響が大きく関係しています。コモディティ市場には「余り物に値なし」という言葉がありますが、今回はWTI原油先物が“値なし”どころか、異例のマイナス価格に陥るという事態が発生しました。

先物市場は、将来の価格を見越して売買する仕組みであり、たとえば農作物などでは天候リスクを回避するために用いられることがあります。生産者は将来の収穫に合わせてあらかじめ売り建てを行うことで、価格変動を抑えて経営の安定を図るのです。原油市場でも同様に、米国のリグ稼働数がすぐに急減しないのは、こうした売りヘッジがあるからです。

しかし、今回の原油価格急落では、生産・消費と直接関係のない「投機筋」の影響が非常に大きかったと言われています。原油先物には毎月の限月が存在し、例えば2023年2月限などもすでに取引が行われていますが、5月21日は5月限の最終取引日でした。投機筋が期先(6月限など)に乗り換えず5月限を保持し続けた場合、現物受け渡し義務が発生し、実際に原油が配送されることになります。

これは日経平均先物のように株式にスムーズに転換できるわけではありません。とくに注目すべきは、ETFを通じて原油に投資している投資家が投機筋の中心になっている点です。ETFによる原油投資は、全体の取引量の約3割を占めているとされており、この影響力は非常に大きいです。

そのため、6月限に移行したあとも、清算日付近では再び市場が混乱する可能性があると指摘されています。実際に5月限と6月限の価格差は最大で60ドル近くありました。このような状況では、原油を買えば買うほど、ロールオーバー(期先への乗り換え)時に大きな損失を被るリスクも否定できません。

話を日本株市場に戻します。現在の相場には、FRB(米連邦準備制度)の金融緩和による資金が潤沢に流入しており、いわゆる“Fedマネー”が株式市場を支えています。こうした中では、投資戦略として日本株ロングを積極的に取る一方で、原油価格の下落リスクに備えて、商社株などエネルギー価格に連動しやすい銘柄のショートを組み合わせるヘッジ戦略が有効と考えています。

特に現在のようなボラティリティの高い相場環境では、一方向へのポジションに偏ることなく、リスクを分散させることが重要です。市場の表層的な動きに惑わされず、資金の流れと構造的な要因を捉えて、冷静に戦略を立てていきましょう。

株式会社アイリンクインベストメント
岩本壮一郎

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